車輪のナゾ

中米の古代文明に…… マヤ文明やアステカ、オルメカ文明などの中米の古代文明。 複雑な暦や、進んだ治水工事も見られる遺跡、階段ピラミッドなどの巨石建造物。黄金ジェットと呼ばれる数々の不思議な出土品や、巨大石球や巨大顔面。 […]

 

中米の古代文明に……

マヤ文明やアステカ、オルメカ文明などの中米の古代文明。
複雑な暦や、進んだ治水工事も見られる遺跡、階段ピラミッドなどの巨石建造物。黄金ジェットと呼ばれる数々の不思議な出土品や、巨大石球や巨大顔面。

超古代文明を匂わせるような驚きの文明が数多く、オーパーツ関連書籍では、中米の古代文明遺跡から発掘されたものが、たくさん紹介されています。
 

しかし不思議なことに、中米の古代文明は、インカ文明まで含めて車輪の文化は無かったと言われています。
 

ホントに? あんなに進んだ文明ですから、車輪がないなんて、逆に不自然な気がします。
有名なアステカの太陽の石(アステカの暦石)なんて、歯車っぽいでしょう? 
ほら

アステカの太陽の石 / Aztec calendar

アステカの太陽の石の図柄(CC BY-SA 3.0)

歯車と車輪は、ハナシが別ということでしょうか?
 

歯車はいっぱい

調べてみると、歯車っぽいものは結構出土しているようです。
例えば、古典期マヤ文明のコパン遺跡。大小様々な大きさの、軸のある石造の歯車(正しくは歯車風の何か?)。
チチェン・イツァ遺跡には歯車形のレリーフがあるそうです。
また、アステカの遺跡からは、回転軸を通す穴が開いた歯車(……の装飾品?)が見つかっているということです。
 

あと、こんな感じのおもちゃも発掘されているようです。

アステカの犬型の玩具
アステカの犬型の玩具

??? おもいっきり、足に車輪がくっついているのですが?
あと、顔がナマイキ!
(引用していい写真が見つけられなかったので、模写。……ほとんどトレースみたいな描き方してしまいました。
その甲斐あって(?) 顔まで含めてそっくりに描けていると思いますよ)

 

これでも、車輪の文化は無いというのでしょうか?
 
mesoamerican artifacts dog wheels toy あたりのキーワードで画像検索したら、車輪付きの発掘物が山ほど出てくるじゃないですか!?
 
絶対、車輪、あるよ、これ、古代中米の文明に!
「車輪は発明されなかった」とか書いてあるけど、絶対車輪、使ってた!
 

車輪の精神性

さらに調べていたら、
ハラパ人類学博物館(Museo de Antropología de Xalapa)の別の車輪付き犬型土偶のページで、こんな風に書かれていました。

こうした出土品は、プレヒスパニック文化では車輪の輸送手段としての使用がなかったにも関わらず、車輪による移動の可能性を知っていたことを示している。
現代の品々から類推し玩具と考えられることが多いが、埋葬に関連しているような発見も多数あり、おそらく冥界への死者の旅を象徴する働きもあったのだろう。
湾岸で見つかった車輪付きのオブジェクトのほとんどは、犬やジャガーの像で、胴体は笛として使用された。

なるほどね~。
「中米の古代文明では、移動手段としての車輪の使用はなかったけれど、車輪そのものは知っていた」ということなんですかね。
 
あと、体んトコロは笛なんですね。
 
また、Wikipediaの「マヤ文明」のところには、こんなことも書かれていました。

車輪の原理は、土偶などの遺物に出てくるにもかかわらず、実用化しようと考えていなかった。一説には発明によって変化する精神文化への配慮があったともされる

便利さが、人間をダメにするということでしょうか。
 
うむ。
あれこれ、考えてしまいますね。
20150126_車輪を手に

 

ゾウしてどうしてそれ知ってるの?

今回は、引用していい写真があまり見つけられなかったので、最後に、オルメカ文明(紀元前1200年頃から紀元前後までのメソアメリカ文明)のこうした面白い遺物を紹介したページをリンクしておきます。英語ですが、写真が豊富で楽しめると思います。

http://www.ancient-wisdom.co.uk/olmecs.htm

下の方に、ゾウのポットがあって、びっくり。
象印のポットじゃなくて、ゾウ型のポット。
なんだか、かわいい。
 
アメリカ大陸に、ゾウっていなかった気がします。コロンビアマンモスってのが約一万年前頃までいたそうですが、それでも、不思議。
アフリカ大陸のゾウがモデルだとしたら、海を渡って人の行き来があったことになるので、それもスゴイことです。
 
ふと「車輪」についてギモンを調べて行ったら、「星新一の気まぐれ好奇心」みたいな展開になってしまいました。
全然、オチがないです。着地点もなく、ただ新しい好奇心が、ナゾとともに広がってしまいました。


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