哲学のタマゴと賢者の石

子供の頃、私は一握りほどの大きさのイオウの石を持っていました。宝物の一つでした。 錬金術に使う「賢者の石」の材料は「水銀とイオウ」であると、何かの本で読んだからなのですが、水銀を手に入れられず、結局「賢者の石」は作ること […]

 

子供の頃、私は一握りほどの大きさのイオウの石を持っていました。宝物の一つでした。
錬金術に使う「賢者の石」の材料は「水銀とイオウ」であると、何かの本で読んだからなのですが、水銀を手に入れられず、結局「賢者の石」は作ることができなかったのですが……。

錬金術と言っても、子供なので、別にお金が欲しかったわけではないんです。
「水銀とイオウを、哲学のタマゴというフラスコの中で加熱すると、赤い賢者の石が出来る。鉛や水銀のとけたものの中に、賢者の石をごく少量加えてしばらくすると、やがて黄金ができあがる」
というような説明に心をわしづかみにされ、そのプロセスを想像しながら、ワクワクしていたのでしょう。レトリックを用いて書くなら、「少年は、そこに黄金以上の輝きを見ていた」というカンジです。
かわいいものですネ。

ただ、錬金術は結構バカにならなくて、医学の発展にも役立ちましたし、蒸留酒も錬金術師たちが作ったものですから、調べてみると面白いジャンルです。

蒸留酒はアクアヴィテ(生命の水)と呼ばれていたそうです。
神はあらゆるものに存在する、という汎神論から、物質を細かく分けるなり抽出していくと、中から神が取り出せる、という発想なのでしょうか。蒸留酒をスピリッツ(精霊)というのも、そこに由来するようですが。

子供向けの魔術本
子供向けの魔術本

トライアングルマーチメンバーは、乾杯するとき「でゅおにゅそーす!」と言います。