ウル王朝のゲーム

Zazaが、シュメールの古代ゲーム「ウル王朝のゲーム」の紹介をします。現在考えられている2種類のルールと、PCゲーム&スマホアプリもリストアップしました。

 

2015年もよろしくお願いいたします!
Triangle March を代表して、ご挨拶申し上げます。


発掘されたウル王朝のゲーム盤

さて、シュメール文明は不思議です。いろいろと不思議です。
紀元前3800年頃、どこからかシュメール人とよばれる民族が突然高度な知識を持って現れ、メソポタミアの地に一大文明を築いたのです。
1分が60秒といった60進法や、労働者・失業者を保護する法律、裁判での陪審員制度、議会の二院制など、現代に生かされている「発明」も多いのです。
そんなシュメール文明の都市の中に「ウル」というのがありまして、そのウル王朝期の遺跡から、非常に美しいボードゲームの盤が出土しています。

図1: 2600–2400 BC頃のもの/大英博物館
図1: 2600–2400 BC頃のもの/大英博物館

このゲーム盤がすごく欲しいのですが、なかなか入手困難なようです。
ということで、仕事の合間を見て自作を試みたいと思ってますが……
 

ルール

将来の自作に備え、とりあえず盤を描き起こしました。

図2:ウル王朝のゲーム盤を描いてみた
図2:ウル王朝のゲーム盤を描いてみた

バックギャモンの祖先ルーツの一つと考えられており、基本的には、

  1. 二人で対戦、
  2. 交互にサイコロを振って、出た目のぶん、コマを進め
  3. すべての持ちゴマをゴールインさせる

というのが、このゲームの目的です。

 

サイコロ

サイコロが今日的感覚からすると特殊で、正四面体(正三角錐)のサイコロを使います。

図3:ウル王朝のゲームの四面体サイコロ
図3:ウル王朝のゲームの四面体サイコロ

頂点の一つだけに目印がついています。
複数個を投げて、目印が上になっているサイコロの数が「出た目」になります。上の絵の場合、白い点が上になっているのが2個なので、出た目は「2」です。
 

ルールはいろいろな説が出ているようです。ここでは2種類紹介します。

 


その1:簡単ルール

図4a:簡単ルールの進路
図4a:簡単ルールの進路

上図のような進路で、コマを進めます。

コマは白黒それぞれ6つ。サイコロは4つ使います。

白→黒の順で交互にサイコロを振って、出た目の分コマを進めます。

図4b:サイコロの目対応表
図4b:サイコロの目対応表

止まる予定のマスに味方のコマがある場合、そこには止まれません。

止まる予定のマスに対戦相手のコマがある場合、攻撃できます(自分が陣取って、相手のコマは盤外のスタートに戻されます)

図4c:華マス(Rosette Field)
図4c:華マス(Rosette Field)
  1. 華マスに止まると、連続でサイコロを振ることができます(その後、複数ある持ちゴマのどれでも動かすことが出来ます)。
  2. 華マスにいるコマは攻撃できません(つまり、自分のコマが華マスにいる場合、戻される心配がないのです)。

ゴールは、丁度の目でゴールします。

サイコロの目が0もしくは、すすめるマスがない場合、パスします。

 


その2:マスの図柄を活かしたルール

図5a:マスの図柄を活かしたルールの進路
図5a:マスの図柄を活かしたルールの進路

こちらの方は少し複雑ですが、ゲーム性は高く、楽しめます。

サイコロは3つ使います。目は1~4で以下の図の通りです。

図5b:サイコロの目対応表
図5b:サイコロの目対応表

コマは白黒それぞれ7つずつ。

出た目に従ってコマを進めます。折り返しのマスでコマは昇格(成る)します。

「普通コマ」は「成りコマ」を攻撃出来ません。同様に、「成りコマ」は「普通コマ」を攻撃できません。

図5c:昇格(成る)
図5c:昇格(成る)

以下、マスの説明をします。

普通マス
普通のマス。このマスに敵のコマがいたら攻撃できます。(攻撃されたコマは最初に戻されます)
※図5aの黄色く示したマスは、ちょうど折り返し地点になっておりまして、通過するか止まるとコマが昇格します(いわゆる「成る」)。

 

華マス
このマスに止まったら、連続ターン。続けてサイコロを振って、コマを動かせます。

 

防護マス
このマスにいるコマは、攻撃できません。

 

同族マス
同一色のコマ4つまで重ねて置けます。動けるのは一番上のコマのみです。

 

共存マス
敵味方問わずコマ4つまで重ねて置けます。動けるのは一番上のコマのみ。

 

成り防護マス
このマスに成りコマがいる場合、攻撃できません。ゴール直前なので、ここを陣取ってちょっとしたジャマができるのです。

「その1:簡単ルール」と同様に、ゴールは、丁度の目でゴールします。
すすめるマスがない場合、パスします。

 


とまぁこんな感じのゲームがウル王朝のゲームです(文章で書くと長いなぁ)。
でも、そんなに複雑なゲームではないです。

こういったゲームは、友人知人家族と遊ぶのが一番です。
対戦相手になってくれそうな人がいる場合、このページの盤の絵をプリントアウトして、ボタンなんかをコマにして遊んでみてください。
サイコロが特殊ですが、普通の四角いサイコロを使って4はゼロ、5~6の目はノーカウントで振り直し、みたいな感じに工夫すればOKだと思います。
 

いくつかアプリもあって、コンピュータ対戦できます。iOS、Android、あとPCでも遊べます。
(説明文が英語なので上の説明を参考に遊んでみてください)

▶Android版:Forgotten Game of Ur
最も綺麗なグラフィック。マスの図柄を活かしたルールで、ゲームとしても面白いと思います。オススメ。

▶iOS版:Royal Game of Ur
簡単ルール(だったと思います)。有料なのが辛い……。

▶PC(ブラウザ/Java):Practice Ur
簡単ルール。大英博物館のレプリカ盤で遊べます。手っ取り早く遊ぶには○

▶PC(ブラウザ/Flash):Novel Games Royal Game of Ur
遊ぶ場合、Guest login して Robotと対戦してみてください。ちょっとルールが変則的で華マスに自分のコマを重ねておけたり出来るようです。


このシュメールの古代ゲーム、なかなかバックギャモンにはない戦略やお手軽さがあって、気に入っています。

ちなみに、私たちのCDにギルガメッシュ・ショックという曲がありましたけど、シュメールの「ギルガメッシュ叙事詩」からきています。

このシュメール ウル王朝のゲームボード、ホントに自作してみたいですね。出来上がったら、ご披露します。