F氏との対談……その2
前回に引き続き、F氏とZazaの対談(第二回)を掲載します。
今回は、コンセプト・アルバムにしようとした経緯と、Triangle March 結成の瞬間を中心にお届けします。
前回に引き続き、F氏とZazaの対談(第二回)を掲載します。
今回は、コンセプト・アルバムにしようとした経緯と、Triangle March 結成の瞬間を中心にお届けします。
■コンセプト・アルバム
Zaza ── Yuleeが、この構想に賛同してくれたので、結構盛り上がり、そこで「神様のお告げがうるさくて眠れないー」って感じの曲も書こうか、っていうアイディアが出ました。
F氏 ── それが「オラクル」だね。
Zaza ── そのミーティングの後、何日もしないうちに、「さいしょの数」「The Blind Watchmaker」「ヴィマーナ・アタック」などの歌詞の原型は書いてしまいました。
F氏 ── 最初から、コンセプトアルバムにしようと思っていたわけ?
Zaza ── それが、いつコンセプトアルバムにすることにしたのか、思い出せないのです。
ただ、アルバムを出すってことにした時、アルバムという形態の意味は、何らかの形で問うようなものにしたいな、って考えてはいました。
F氏 ── というと?
Zaza ── レコードやカセットテープの時代は、曲を飛ばせないので、曲順に意味があったと思うのです。しかし、やがてCDの時代になって、曲が飛ばせるようになるとその意味はだんだん薄れ、「捨て曲」という概念が生まれた。さらに、配信時代になって、曲順の意味はほとんどなくなり、そう考えると「アルバム」ってシングル曲のまとめ売り? みたいな感じになっていると思うのです。
F氏 ── そうだね。
Zaza ── 15~16曲以上入っていたりするCDも多いですよね。お得感はあるのですが、アルバムを通して聴くのが少し困難かなって気がしたんです。
また、少し前にとあるアーティストのアルバム制作現場を見させてもらったのですが、そのアーティストはさんは、出来た曲を、あるだけ、気に入った順に並べていて、プロデューサーさんらと「そういうもんじゃないだろう」と話したりしました。
F氏 ── たしかに。最近はそういう傾向、あるかもね。『ピンクフロイド』とかって、「捨て曲」なんて概念を持ち込んだら、全く面白くないよね。やっぱ、全部通して聴いて、意味がある気がするよ。
Zaza ── そういった思いもあったので、アルバムという意義を問いたい、と考えていました。また、配信時代に合わせて、iPodなどでシャッフル再生されても成り立つようにしたいと思っていました。
F氏 ── 具体的には?
Zaza ── 例えば、プログレなどであるような、曲と曲がくっついているような作りは、配信時代向きではないかな、と。
F氏 ── ははは。私も70年代プログレをiPodに入れているから、シャッフル再生すると、へんな感じになるね。多分。
Zaza ── 歌詞(の原型)を数曲分書いたあたりで、コンセプトアルバムとして作って、アルバムとしての意義を出そう、ということに自分の中で固まっていったのだと思います。
■Triangle March の結成
F氏 ── そういえば、まだこの時点ではボーカルのYukkyさんには、声かけていないんだよね?
Zaza ── そうなんです。この時点では、作曲や編曲、打ち込み作業自体が面白いと思っていて。まさか、自分がアルバム出すとは思っていませんでしたから、アルバムを出すかもってアイディアにも興奮していたので、ボーカルはボーカロイドでもいいんじゃないか、とすら思っていた気がします。
F氏 ── へぇ。それはそれで、今っぽくて面白そうだけど。
Zaza ── とはいうものの、Yuleeと2回目の打ち合わせしているとき、ボーカロイドじゃないボーカルが、自分たちのプロジェクトには絶対必要だな、ということになり、ダメもとでYukkyにアポとってみる、という流れになりました。
F氏 ── ほう。
Zaza ── Yukkyに連絡して、とりあえず主旨を伝えたら、会ってくれるというので、はじめて3人出会うことになりました。
F氏 ── よかったね。
Zaza ── とある喫茶店で、円卓にくるりと3人で座って、とりあえず出来ている2曲をYukkyに聴いてもらって、恐る恐るボーカルを頼んだことを覚えています。
F氏 ── 反応は?
Zaza ── なんか、あっけないほどに快諾してくれた気がします。あーよかった。って思いましたね。
F氏 ── よかったね(笑)
Zaza ── で、あれこれ構想を話して……。雑談もして、なんと全員3月生まれ! ということも判明し、ユニットがスタートしたなって、気分になりました。
F氏 ── 結成の瞬間だね。
Zaza ── それから、実はYukkyがOKしてくれた場合、「ユニット名をそれぞれ考えるコト」って宿題を出して解散しようと思っていたんです。
F氏 ── あ、そうなの? Zazaくん、物知りなんだから、自分でも考えつくでしょうに、珍しいね。よくキャッチコピーとか、商品名みたいの、パッと考えてつけているじゃない。
Zaza ── (笑)それはどうもありがとうございます。
自分で考えようとも思ったのですが、自分で考えると変なヨーロッパ語とか使って、覚えられないような名前にしてしまいそうなので。……ドデカヘドロンとかグリモワールとか使って(笑)。自分プロジェクトだからか、へんに力が入ってしまう(笑)
F氏 ── たしかに、そんなだったら、覚えられんかも(笑)
Zaza ── で、「ユニット名を決めたい。そこそこオリジナリティがあるけれど、耳慣れない言葉は使いたくないんだ」と切り出したんですね。そしたら、Yukkyが「マーチを使ったらどうかな」って言ったんですよ。
F氏 ── マーチ?
Zaza ── ええ、3人とも3月生まれだから。Yuleeも「マーチは、音楽のマーチもあるからいいね」と賛同して。そしたらほとんどすぐにYukkyが「トライアングルマーチはどうだろう?」と提案したんですよ。で、「ん!」「いいんじゃない?」「いいね!」と即決でした。何個か案を出して、絞ることを予想していたので、後から考えると、これは奇跡的なヒラメキな気がします。
F氏 ── どうして、トライアングルなんだろう?
Zaza ── 3月生まれの3人が、ちょうど3角形に座っていたから、ということなのですが、シンプルさと力強さと明快さがあって。あと三角形というのが、古代神秘趣味にもマッチしていて、もうなんか私達が名乗るべくして、既に前から決まっていたかのような安堵感がありました。数字の3を各頂点に配したプロビデンスの眼風のマークも、その時に頭に、それこそ啓示のように浮かび上がった感じでした。
F氏 ── そういう意味だったのか。
Zaza ── なんか、こういう神秘的なインスピレーションとやりとりに、ちょっとわくわくしましたね。いままで、他の人と一緒に何かを作る、という経験が少なかったので、メンバーと一緒に作る意味を実感した瞬間でもありました。
F氏 ── Yukkyさん、面白いね。考えてみると、Yukkyさんがすべての引き金を引いているのね。
そもそもZazaくんは、Yukkyさんのライブを見て、曲と詞を書き始めたんでしょう? そして、Yuleeさんは、Zazaくんの作った曲に何らかの共鳴をした。で、Yukkyさんをボーカルとして招いた。
Zaza ── あ、そうですね。そう考えると、Yukky、偉大だな。
次回に続きます。
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