古代の機械
胡散臭いオーパーツがあふれる中にあって、学術的に「本物!」と認められている数少ない例の中に、「アンティキティラ島の機械」というものがあります。 その昔(紀元前100年ころ)、ローマ船が小アジアからイタリアへと航海していた […]
胡散臭いオーパーツがあふれる中にあって、学術的に「本物!」と認められている数少ない例の中に、「アンティキティラ島の機械」というものがあります。
その昔(紀元前100年ころ)、ローマ船が小アジアからイタリアへと航海していたそうですが、その航路の中ほどにアンティキティラ島という小さな島があります。岩だらけの海岸。嵐などが起これば、座礁する危険が高くなりそうな場所のようです。
この「アンティキティラ島の機械」は、紀元前70年頃にそこで沈没したとされる船から発見されました。20cmくらいの大きさです。
発見当初は大した扱いを受けていなかったのですが、スキャン技術が進んだり、刻まれていた文字の解読が進むと、どうやらかなり複雑な科学計算機……ポータブル・アナログコンピューターなんじゃない?ってことになり、一気に注目されるようになりました。
大小様々な歯車が組み合わさって、機械の横に取り付けたハンドルを回すと、1年における黄道十二星座上における太陽の位置が、時計の針のように動き示されます。ミニチュアの月が先についた針もあり、くるくる回りながら月の相(満ち欠け)が分かります。また、裏側にも時計のようなものがあり、組み合わせて見ると、月食・日食の日の予測、惑星の運行などが示されるようです。さらに、うるう年も考慮された作りになっていたそうです(うるう年を含む暦で最古のものは、この機械のおよそ100年後に登場)。
地球のまわりを月が周り、その地球は太陽のまわりを回っているので、地球から見ると、月や太陽の速度は、実は一定の速度ではありません。が、この機械は、なんとその動きもシミュレートされて動くようになっているということです!
スゴイよ!古代の科学技術!
実際に復元作業をしている研究者からも、この機械のテクノロジーには驚嘆の声が上がっているそうで。
18世紀の時計などと比較しても、勝るとも劣らない精巧な機械。現代の時計職人でもこれだけの機械を作るのはかなりの手間と労力がかかるそうです。
スキャンしてみてわかったことは、歯車などに一切「修正した形跡がない」こと。
自分の作品は、修正してばっかりで、迷いと煩悩に生きていて泣けちゃいますね。
18世紀の時計の歯車なんかでも、微調整して削ったあとがあるそうなのですが、この機械にはそうした迷いが一切ない! よほど慣れた作業なのかも=当時は結構たくさん作られていたかも……という推測も成り立ちそうです。
この機械が、この一台しか発見されていないのはブロンズ製だったということも関係しているようです。というのも、ブロンズは貴重で、また溶かして再利用可能なため、別のものになってしまった可能性が高いのです。
写真:NASA(Astronomy Picture of the Day – The Antikythera Mechanism)
引用元:Wikipedia アンティキティラ島の機械
ライセンス:GFDL1.2 / CC BY-SA 3.0