Yukky×Zaza対談:制作を振り返る(1/2)

Yukky×Zaza対談:CD「ヴィマニカ・ヴィマニカ」制作を振り返る(1/2) CD「ヴィマニカ・ヴィマニカ」が完成した直後、制品をYukkyに手渡すついでに、Zaza と Yukky で制作を振り返る対談を行いました […]

 

Yukky×Zaza対談:CD「ヴィマニカ・ヴィマニカ」制作を振り返る(1/2)

CD「ヴィマニカ・ヴィマニカ」が完成した直後、制品をYukkyに手渡すついでに、Zaza と Yukky で制作を振り返る対談を行いました。録音の時の様子、撮影の様子から、Yukky の音楽的バックボーンや考え方など、制作を通した活動を広く振り返る感じの対談となりました。今回は、その時の模様をご紹介します。

 

■ヴィマーナ教習所の録音

Zaza──ついに完成しました、CD! おつかれさまで~す。カンパーイ!

Yukky──おつかれさまでーす。カンパーイ。

Zaza──フルタイムで Triangle March にとりかかれないという事情もあるけれど、ちょっと制作作業に時間がかかってしまいました。まーでも、振り返ると色々あったけど、パッと思いつく、特に印象深かったことってある?

Yukky──んー、なんだろう? いろいろ試しながら取り組んだりして、大変だったこともあったけれど、楽しく作れたよね。そこそこ。

Zaza──そうだね。出来上がったCDを見ると、一段落したなって、思うね。

Yukky──うん。ふふふ。

Zaza──あ、そうそう。訊きたかったことがあるんだけど。

Yukky──なぁに?

Zaza──仮歌をボーカロイドで入れたデモ曲を渡してたじゃない? あれ、Yukkyはどんなふうに練習とかしてたの?
録音するときとかは、もう結構歌詞とか入ってた感じだったよね。

Yukky──お家で流して聴いたり、iPodとかに入れて、電車とかで聴いたり……

Zaza──へー。でも、ヴィマーナ教習所(註:①ヴィマーナ教習所(作詞:Zaza/作曲:Zaza/編曲:Zaza))のラップ風のとこなんか、よく覚えてくれたなって、思ったよ。んちゃらヴィマーナとか、名詞の量が多いし、大変だったでしょ。

Yukky──何度も聴いたし、何回かスタジオで練習したりしたから。

Zaza──息継ぎするところもない歌だったし、特にあのラップ風のところは、当初はボーカロイドのままでもいいかな、なんて思っていたんだけどね。練習に入った時には、歌詞的には、もう歌えている感じだったよ。

Yukky──そう? 歌ってみたら、意外と歌えたね。

Zaza──びっくりした。

Yukky──ふふふ。……録音の時、結構何回も歌ったりしたよね?

Zaza──そうだね。「感情を込めずに」とか「ちょっと力強く」とか、テイストを変えてもらってね。全テイク失敗なく歌ってたんで、それ聴いて、エンジニアさん「すっげーなー」て言ってたよ。

Yukky──え、そうなの? ふぅん。でも、苦労はしたと思う。気合いですかね。ふふふ。

Zaza──あの「ヴィマニカ・シャストラ教科書だけど~」の部分は、歌ってもらったテイクをいくつも重ねてミックスしたんだ。テイストを変えた歌が重なって、感情が読み取れないような不思議な感じになったと思っているよ。

 

■難しかった曲

Zaza──さて、練習してて、一番難しかった曲って何?

Yukky──なんだろう? なんだろう? 基本的に、全部難しかった。

Zaza──それはー、ごめん(笑)

Yukky──……オラクル(註:⑧オラクル(作詞:Zaza/作曲:Zaza/編曲:Zaza))が、最初の頃は難しかったかな。うん。オラクルが難しかったね。

Zaza──あー、オラクルね。あれは、難しいと思う。リズムが取りにくいんだよね。

Yukky──そー、リズムがね。

Zaza──でも、最終的にカッコよく歌ってくれて、面白く仕上がったと思うよ。押し曲の一つだね。

Yukky──基本的に、リズムは全部難しかったから……オラクルに限った話ではないって感じだけど。

Zaza──(苦笑)

Yukky──だって、カイジュウ(註:④カイジューと王子様(作詞:Zaza/作曲:Yulee, Zaza/編曲:Yulee, Zaza))とかも、結構難しかったのよ。

Zaza──そぉ? まぁ、変拍子ってこともあるんだろうけど。

Yukky──うん。難しかったよ。

Zaza──とはいえ、レコーディングの時とか、スムーズにいっていたんで、あんまり苦労なかったのかと……。

Yukky──いや、歌いにくいなぁと思ったりしてて(笑) 基本的に全部歌いにくいんだけど(笑)

Zaza──うわー、手厳しいな(苦笑)

Yukky──ふふふ。歌いにくかった。でも、難しかった分、練習のしがいはあったのかな。練習したの録音して聴き直すと、ちょっとリズムが良くなったとか、分かるから。なんか頑張ったかいがあったな、っていう。
最初、リズムが全然とれなかったりするけど、回数を重ねて歌えるようになってくると、成長しているんだなぁって実感はあった。

Zaza──なるほどね。まぁ、工夫も色々したよね。発声練習とか、ストレッチとか。
倍ぐらい遅いスピードで(オラクルとかは)歌って練習してみたりとか。

Yukky──うん、うん。

Zaza──あとね、息継ぎが難しいんじゃないかと思いながら作った曲も多かったんだけど、練習で歌ってもらうと、あっさり歌えてしまっていたので、最初それにびっくりした。

Yukky──うん。そうなの?

 

■Yukkyのために書いた曲

Zaza──一番最初にレコーディングしたの、なんだっけ? 赤の女王?(註:⑦赤の女王(作詞:Zaza/作曲:Zaza/編曲:Zaza))

Yukky──多分そう。

Zaza──はじめてのスタジオ録音で……スタジオを使わせていただいて……なんというか、その、気を遣ったね。すごく勉強になったけど。

(註:レコーディングをはじめて、最初の何回かは、スタジオをお借りして、エンジニアの方にレコーディングしてもらっていた。しかし、自分たちで録音するほうが良いのではないか、という思いが次第に強くなっていき、オフィス内に簡易スタジオを作り、自分たちでレコーディングすることにした―という経緯がある)

Yukky──うん。勉強になった。
でも、自分たちで録ることにしてから、(スタジオの空き具合などを気にすることなく)自分たちのペースと都合でレコーディングし始めて、効率良く作業が進むようになった気がする。やっぱり、調子が乗っているときは、スケジュールをタイトめに続けてレコーディングしたほうが、波に乗れるというか。
そういうほうが、フットワーク軽くできるようになって、良かったのではないかと。

Zaza──確かに。やってみて分かったけど、(エンジニアさんとか)いわばスタッフに理解してもらうのが難しいプロジェクトだった気がする。今回はね。理解してもらう時間っていうのが、結構かかってしまうからね。自分たちでレコーディングするような方針に切り替えてからは、そういう時間が不要になって、他に注力できた。

Yukky──うん。なんというか、いい意味で気を抜いて……リラックスしてできた感じがするね。
そういう意味でも、楽しく出来たと思う。こういうやり方のほうが。

Zaza──それが、私たちの作り方だったんだろうね。手探りでいろんなことを模索しながら、ね。

Yukky──うん。自分たちでやるって方針でね。

Zaza──赤の女王ってさ、最終的には録り直しさせてもらったけど。

Yukky──うん。録り直した。

Zaza──あの赤の女王ってさ、Yukky のために、ってはじめて書いた曲なんだ。Triangle March 結成する前に、2~3曲出来ていたじゃない?あれって、Yukky に声かける前だったので、ボーカルは Yukky じゃないかもって状況で書いていたんだけど、赤の女王は、完全に Yukky のために! って感じで書いたんだ。

Yukky──ほほー。なるほど。

Zaza──で、あの曲書いて、物語の主人公、アリスのキャラも、頭のなかで固まった感じになった。

Yukky──うん。そうなのね。

 

■Yukkyの音楽活動

Zaza──このCDに収めた曲の中で、一番好きな曲ってある?

Yukky──ない(笑)……っていうか、決められないよ。

Zaza──(笑)質問が良くないね。俺もそんな質問されたら、困っちゃう。

Yukky──全部……曲それぞれに、違った個性があるじゃない。基本的に、全部面白いなって思ってるけど。
コンセプトアルバムだし、どれか一曲を切り出して、どうこうって感じでもないしね。

Zaza──ちょっと、話題を変えて、Yukky のこれまでの音楽活動と、今回の Triangle March の活動で、大きく違うことってある?

Yukky──以前のバンド活動は、ライブをやるためだったから……。Triangle March は録音がメイン。アルバム制作って目的があって取り組んだから、まず、それが大きく違うかな。あと、生演奏でないってのが、大きく違っていますね。
バンドのときは、メンバーでスタジオに集まって、一気に合わせるっていう、ね。そんな感じだった。

Zaza──今回のアルバム制作ではさ、Yukky からあれこれ言われることなく、私の意図を100%実現させる感じで取り組んでくれたじゃない? そのバンドの時は、どうだったの? 意見言ったりしてるの?

Yukky──言ってる。

Zaza──(笑)

Yukky──たとえば、日本の歌謡曲やジャズなんかをやっていたんだけど、「こんな感じにしたい」って要望を、ギターの人に伝えて。そのギターの人が、アレンジなどの楽曲面をメインでやってくれていたんだけど、ちょっと難しく弾かれると歌いにくいから「簡単にして」とか伝えていた。

Zaza──(笑)

Yukky──自分が歌いにくいと「難しー、難しー」ってね(笑) 「ついてけない、ついてけない」ってね。

Zaza──そっかー。Triangle March では文句ひとつ言わず、難しいことに取り組んでくれて、ありがとう!

 

■Yukkyの音楽的背景

Zaza──この際だから、Yukky の音楽の趣味とかバックボーンみたいなものを、話してもらっていい?
なんか古い歌謡曲とか歌っていたでしょ。渋いカンジの曲を沢山。

Yukky──日本の古い歌謡曲とか、いろいろ聴いていて、「あー歌ってみたいな」と思ったものを中心に、取り組んできた感じかな。理由なく……もう、直感ね。浅川マキとか、昭和歌謡とか、ジャズとか。

Zaza──今回の Triangle March では、そんな感じの曲は全くなかったけど。いつかそんな感じの曲を歌ってもらおうかな、なんてことも考えてる。俺、書けないけど、そんな感じの曲。

Yukky──ジャンルぜんぜん違うもんね。

Zaza──Yulee なら書けそうだから。あの人も、70年代歌謡とか詳しいし。いろいろやってみたいですね。
普段聴いているような音楽、教えてもらってもいい? いろいろ歌えるよね。メッチャクチャ幅広いじゃない。河合奈保子からAKB、あと電気グルーブとかも。

Yukky──ジャンルは、……何が好きってのは、あまりなくて。いろいろ聴いてみてはいるカンジかな。

Zaza──歌謡曲全般詳しいなって感じはするね。

Yukky──そうですね。歌うことが好きだから。昔の歌謡曲は、作詞の人とか、作曲の人とか、しっかりしている印象があって、そういうのがココロにくる感じがある。なんか、気持ちを込めやすいっていう。そんなのが「歌」って感じがする。

Zaza──たしかにね。

Yukky──落ち込んでいる時に中島みゆきを歌ったり……

Zaza──中島みゆきとか歌うの?

Yukky──うん、歌う。「アザミ嬢のララバイ」とか。
なんか自分のテンションにあった歌が、それぞれたくさんあって。すごい元気で楽しい時には、アイドル系。河合奈保子とか、聖子ちゃんとか、ハッピーに。で、もうちょっとしっとり、しみじみしたいなーって時には、60年代、70年代系。西田佐知子とか。
自分の気分を一番あらわしやすい曲を歌うことで、発散というか、心の整理をする。……そんなところもある。

Zaza──へー。なるほどね。

Yukky──そういう一面があるのかもしれない。一番ラクな方法って感じ。

Zaza──ストレス解消の?

Yukky──そう。

Zaza──カラオケとかで、歌っている姿をみると、ホントに楽しそうに歌うよね。

Yukky──まぁ、それが一番だと思っているよ。

 

次回に続きます。
また、対談中の1st Album 「ヴィマニカ・ヴィマニカ」は発売中です。未入手の方はぜひ!


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